屋久杉は標高500~1500mあたりに分布しています。ふつうの杉は樹齢300年程度とされますが、屋久杉は2000~3000年の長寿を誇っています。この原因としては主に屋久島の気候が挙げられます。生育が遅いため、年輪が密で、樹脂が多く、独特な香りがします。
また、害虫にも強く、伐られて数百年たっても腐らないため、土埋木が工芸品などに加工されるのです。屋久島では樹齢1000年以上のものを「屋久杉」、1000年以下の天然木を「小杉」、人工的に植林されたものを「地杉」と呼びならわしています。
江戸時代、屋久杉は屋根を葺く平木の状態で薩摩藩に年貢として治められました。平木に割るには木目が素直でないといけないので、木目が複雑に入り組んでいる根元の部分は避けて、地上2m程度のところから伐採されました。その切り株は現在でも残っており、屋久島の森に独特な景観を生み出しています。この切り株を土埋木(どまいぼく)といいます。
現在、屋久杉の伐採は禁止されているので、工芸ではおもにこの土埋木を使っています。
屋久杉の土埋木も現在ではだいぶ減ってしまいました。以前はトロッコやヘリコプターを使って搬出し、屋久島と鹿児島で入札にかけられていましたが、現在では一般公売はもう行われておらず、伝統工芸用資材として少量が細々と搬出されています。
材の質を見て、何にするか決まったら作るものにあわせて製材します。板や角材にする場合には、屋久杉を台車に乗せて、巨大なバンドソー(帯鋸)で挽きます。丸太の状態で材の質を見定めるには熟練した目が必要です。
製材が終わったら大まかに木取り(作るものの形に切り出す)をします。
壺や自然花器など、高さ、厚みがあるものは直接丸太から切り出します。この状態ではまだ水分が多いので、木取りが終わったら荒刳りをしてさらに屋内で乾燥。急に乾燥させると割れてしまうので、毛布でくるんだりしてゆっくりと乾燥させます。小さいもので数ヶ月、大きいものになると数年かかります。
木がある程度乾燥したら、いよいよ形を削りだしていきます。荒刳り(あらぐり)から始まって、数回にわけて切削と乾燥の行程を繰り返しながら形を作っていきます。乾燥すると木は収縮し、形がゆがんでしまうのです。
機械を使わない作業も少なくありません。刃物、紙やすり、うずくり、どんな道具を使っても、最後に仕上げるのはやはり人間の手。この手作業によって工芸品がやさしく、やわらかく仕上がるのです。
塗装は表面を美しく仕上げるという以外に、傷を防いだり、乾燥や湿気から作品を守るという目的があります。まったく塗装しないものから10回以上塗装するものまでいろいろです。
杉の舎では無色のウレタン塗装、生漆のほか、柿渋や墨、蜜ろう、オリーブオイルなど、目的に応じて様々な塗料を使っています。
こうして完成した作品は杉の舎の本店や仙人村で販売されます。本店の裏にある工房と仙人村で制作されています。
屋久島空港から徒歩1分。
宮之浦(みやのうら)、安房(あんぼう)からそれぞれ約10㎞、
どちらからでも車で15分くらいの距離です。
〒891-4207 鹿児島県熊毛郡屋久島町小瀬田(屋久島空港前)